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本当に軽い? 命が危険な脳震とう [頭と首]

北の地方では、地面が凍る季節には、事故がつきものです。とくに今年は南の方でも雪が多くふるようですね。慣れない凍結には注意が必要です。車の事故も危険ですが、もっと身近なところも危ない。アイスバーンの地面に足が滑って転倒は、いつでも誰にもおこります。

骨折というのが、一番ありそうなケガですが、さらに怖いのが頭をぶつけること。頭部へのダメージは、ときに深刻な問題になります。

脳に衝撃が加わって起きる”脳振とう”は、かつては「よくあること」と軽く見られがちでした。でも、死亡や重い後遺症につながることがあということで、現代では認識を新たにしています。


「 立ち上がって帰ったと思うけど、その後はよく覚えていない 」


岩手の会社員Aさんは、五年前、自宅近くのコンビニの前で、足を滑らせ頭を打って脳震盪を起しました。
あおむけに倒れて後頭部をぶつけたのです。周囲の人に助け起してもらい立ち上がったけれど、頭がボーッとして痛い。自宅に帰りついた後に、気分が悪くなって吐いたそうです。

あまりにひどいので、その日、近くの病院へいったところ、

「 脳振とうだろう。しばらく安静にすれば回復する 」
 
そう言われました。1日休んで仕事にでました、頭は重いまま。約二週間後に、大きな病院の脳神経外科を受診したところ、MRI検査などから「症状は続いている」と診断されました。完全復帰まで、さらに二週間を要したそうです。



”脳振とう”とは、頭部に衝撃を受けた直後に発症する、一過性および可逆性の意識や記憶の喪失をともなう症状のこと。漢字では「脳震盪」と書きます。「震盪」とは激しく揺れ動かすという意味。頭痛やめまい、ふらつき、吐き気、健忘などの症状があります。多くの場合、7~10日程度で治まるのですが、数週間以上持続することもよくあります。

意識を失うというイメージが強いですが、実際は九割以上のケースで意識を失ってません。意識があるので、軽く捉えるのですね。本人も周囲も”脳振とう”と認識しなかったり、スポーツの場合は、そのまま競技を続けることもあります。

脳振とうが回復してないまま、スポーツをしたことで 脳振とう を繰り返してしまうと、その結果、致命的な脳損傷を招くこともあり得ます。特に怖いのが”急性硬膜下血腫”です。急性硬膜下血腫は、頭蓋骨の内側の硬膜と脳とをつなぐ「架橋静脈」が、脳が揺れた時に切れて出血、血の塊が脳を圧迫する。若年者でも約半数は死亡し、助かっても重い後遺症を抱えることが少なくない。


医療機関では、詳細な問診のほか、CT(コンピューター断層撮影)やMRI検査などを行って、脳震盪を診断します。よくある症状なのですが、特に治療法はありません。とにかく休息あるのみで、「肉体的、精神的な休息を十分に取り、経時変化を見る」ことがポイントになります。


ちなみに、日本国内で脳震とうが注目されたきっかけは柔道での事故。1983~2013年度に中学や高校で起きた柔道事故で死亡した生徒の数は、なんと118人に上ります。そのうちの76人が急性硬膜下血腫など頭部外傷。ラグビーでも同期間に59人が亡くなってます(頭部外傷23人を含む)。日本脳神経外科学会では、スポーツで脳振とうを起こした場合の注意をこんなふうに促してます。


 直ちに競技や練習への参加を停止する
 復帰は症状が完全に消失してから徐々に行う
 脳損傷や硬膜下血腫を生じたときは競技に復帰するべきではない

足を滑らせるケースも、スポーツで転ぶケースも、いつでも、起こりうることです。
決して軽くみないて、危ないとおもったら、病院で検査をしてもらうのが一番です。




■ 脳震とうの程度


最後にメモです。

脳震とうは、意識消失がなく15分以内に症状が軽快するものを「軽度」、軽快に15分以上要するものを「中度」、数秒でも意識消失があるものは「重度」と判断します。軽度の脳震とうは一度目であれば競技復帰が許可されますが、二度目以降は医師の判断によって競技復帰を認めない場合もあります。

短期間に二度の脳震盪を起こすことを「セカンドインパクトシンドローム」といって、致死率が50%を越えるケースもあり、非常に危険な状態です。


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